日本経済とゲーム会社の給料、リストラ、内部留保の現状

日本経済の停滞とゲーム会社の給料

記録的な円安となっている2024年7月、アメリカの金利と日本の金利差は縮小傾向に振りつつも依然として円安は拡大しています。円安が進行しても国内の給与水準も上がれば経済的に問題はないのですが、日本の経済は過去20年間、平均給与がほとんど上昇していません。この背景には、低い経済成長率や終身雇用制などが影響しています。ゲーム会社においても同様で、特にコロナ禍の影響により、業績が変動しています。巣ごもり需要の増加により一時的に業績が上向いたものの、アフターコロナでの課金減少が続き、収益の減少とそれに伴う給与の伸び悩みが見られます。

最近のリストラと損失を計上したゲーム会社

  1. gumi株式会社
    • gumiは2024年に約80名のリストラを実施しました。このリストラは、ゲーム『アスタータタリクス』の売上が想定を大きく下回ったことが主な要因です。同社は2025年4月期の第1四半期に特別損失として約59億3400万円を計上する予定です​​。
  2. スクウェア・エニックス
    • スクウェア・エニックスは2024年3月期において221億円の評価損を計上し、ゲーム開発方針の見直しを行っています。この損失は、今後発表予定のタイトルがほとんどであることが原因です​​。
  3. 株式会社セガ
    • セガは、欧州での事業再編の一環として、Relic Entertainmentをイギリスの投資会社に売却し、リストラを実施しました。これにより、2024年3月期に約62億円の特別損失を計上する見込みです​​。
  4. 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
    • DeNAは2023年10-12月期に276億円の営業損失を計上しました。この赤字は、ゲームやのれんの減損が主な原因です。経営責任を明確にするために、社長と会長の報酬を一部返上しています​​。
  5. 株式会社enish
    • enishは2023年12月期に12億円の営業損失を計上し、リストラを実施しました。この結果、役員報酬も減額されています​​。

ゲーム会社の内部留保について

内部留保は企業が利益の一部を社内に留め置く資金のことを指します。日本は内部留保をして経営経済のバランスをとって倒産などのリスクに対応しています。そのため、給料の全体的な底上げや雇い渋りなどが生じますが、ゲーム会社において内部留保は以下のような役割を果たします。

  1. 新規開発への投資: ゲーム開発には多額の資金が必要です。内部留保を活用することで、新たなゲームタイトルの開発や技術革新に投資できます。
  2. 不測の事態への備え: 市場の変動や予期せぬ事態(例:経済危機やパンデミック)に対して、内部留保は企業の安定運営を支える重要な資金源となります。
  3. 株主への還元: 内部留保の一部を配当として株主に還元することで、株主価値を高めることができます。

具体的な事例

  • gumi株式会社: 特別損失を計上した際に内部留保を活用して経営の安定を図り、リスクの大きいオリジナルタイトルの開発を一時中止し、収益性の高い事業に注力しています​​。
  • スクウェア・エニックス: 大規模な評価損を計上し、開発方針を見直して内部留保を活用しています​​。
  • セガ: Relic Entertainmentの売却やリストラを通じて内部留保の確保と経営の健全化を図っています​​。
  • DeNA: ゲーム事業の苦戦による大幅な赤字を内部留保でカバーし、財務健全性を維持しています​​。
  • enish: リストラと役員報酬の減額を行い、内部留保の確保に努めています​​。

結論

日本のゲーム会社は、巣ごもり需要の減少とアフターコロナの影響により、収益が減少し、リストラや損失計上が相次いでいます。内部留保はこうした状況に対応するための重要な資金源となり、企業の安定運営を支えています。今後の対応策としては、既存のビジネスモデルの見直しや、新たな収益源の模索が求められます。
日本のゲーム会社においては内部留保によって倒産や大規模リストラなどが発生しないように、バランスをとれるようにする傾向があります。日本に進出している欧米や中国系のゲーム会社は日本企業と違って真逆ともいえる構造、体質ですので、転職や就職先を検討する際にはこういった企業体質も踏まえて検討することをお勧めいたします。

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